DXを始める前に知っておきたい「第一歩の考え方」

１、 現状の課題を見える化する

DXを導入する前に、まずは業務のどこにムダや非効率があるかを洗い出すことが第一歩です。

たとえば次のような課題は多くの中小企業で共通しています。

• 請求書の発行・送付を手作業で行っている
• 給与計算をExcelで管理している
• 勤怠管理が紙やタイムカードベース
• 社内申請が紙で行われており、確認に時間がかかる

こうした小さな手間が積み重なることで、本業への集中力が削がれ、全体の生産性が下がる原因になります。現状では中小企業の多くが業務効率化を課題と認識しているものの、実際にDXに取り組んでいる企業はまだ少数にとどまっています。

[出典：中小企業庁「中小企業白書（2024年版）」]

効果の出やすい業務から着手することが成功のカギ

２、手間が大きく、ミスが起きやすい業務に注目する

すべてを一気に変える必要はありません。改善効果が目に見えやすい、次のような業務から始めましょう。

• 給与計算 → クラウド給与計算ツールで自動化
• 請求書発行 → 電子請求書サービスを導入
• 勤怠管理 → クラウド勤怠システムでリアルタイム管理

これらの業務をデジタル化するだけで、作業時間を平均で50%以上削減できた企業も多いです。特に請求書業務のデジタル化では、月間10時間以上の時間削減効果が報告されています。

ツールだけでなく「業務の流れ」そのものを見直す

３、業務フローをデジタル前提で再設計する

よくある失敗として、「システムだけ導入して業務手順はそのまま」というケースがあります。例えば：

• 電子請求書を導入したのに承認は紙で回している
• クラウド勤怠を導入しても給与計算は手作業のまま

こうした状態では、逆に二度手間になることも。

ツール導入＝目的ではなく、「仕組みを最適化するための手段」として考えることが重要です。

DXに成功している企業の多くは、単なるデジタル化ではなく、業務プロセスそのものを見直すところから始めています。これにより、真の業務効率化と働き方の変革が実現できるのです。

現場を巻き込んだDXで、社内に根づく仕組みを作る

４、DXは「一緒に作る」姿勢が成功のポイント

DX導入の多くが失敗する原因は、現場の理解と協力が得られていないことです。

「新しいシステムは使いにくい」

「慣れたやり方の方が楽」

このような不安をなくすために、現場メンバーの意見を取り入れながら導入・説明・運用を進めていく「巻き込み型DX」が成功の鍵です。

特に中小企業では、リーダーシップとともに社員全員の参画意識がDX成功には不可欠です。経営層だけでなく現場のチャンピオンを育て、社内全体で変革を進める体制が重要となります。

[出典：経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」]

導入後も「使い続けて改善し続ける」ことが大切

５、定期的な見直しと改善がDX成功を左右する

導入後の運用フェーズでは、以下を定期的に確認しましょう。

• 実際に業務効率は向上しているか？
• 他にアナログな業務が残っていないか？
• ユーザーの不満や課題が発生していないか？

導入して終わりではなく、継続的に見直し→改善→再定着を繰り返すことが、真のDX成功に繋がります。

成功企業の多くが「定期的なレビューと改善サイクル」を組織文化として定着させています。導入後の継続的な改善こそが、長期的な効果を生み出す秘訣です。

なぜバックオフィスDXが売上向上にもつながるのか？

業務効率化は利益創出の「土台」となる

バックオフィスは直接的に売上を生む部門ではありませんが、以下のような「間接的な売上貢献」が期待できます。

• 業務効率化で本業（営業・顧客対応）に集中できる
• ヒューマンエラーの減少により、顧客満足・信頼性向上
• 経営層がリアルタイムで数字を把握し、迅速な意思決定が可能

実際に、中小企業でDXを実施した企業の多くが売上または利益の向上を実感しています。業務効率化によって捻出された時間の大部分が「営業活動や顧客対応」に再配分されることで、企業全体の競争力とスピードが高まり、最終的な売上増加やコスト削減に貢献します。

まとめ｜DXは「できることから」でOK。今日から一歩踏み出そう

DXは決して大規模な改革から始める必要はありません。

むしろ、今すぐ取り組める「小さな改善」から始めることが、継続的な成果につながります。

1. 最初に現状課題を見える化
2. 効果の出やすい業務からスモールスタート
3. 業務フローごと見直して仕組みを再構築
4. 現場の協力を得てDXを定着化
5. 定期的な見直しで改善を継続

この5つのステップで、無理なく、確実に業務効率化と企業体質の改善を実現しましょう。

IT導入補助金など政府の支援制度も活用しながら、自社に合った形でDXを進めていくことが重要です。2024年度には中小企業向けのDX支援制度も拡充されており、検討するタイミングとして最適です。[出典：中小企業デジタル化支援ポータル]