「DXを進めたいけど人材がいない…」という悩みの正体
DX人材は”外から連れてくるもの”ではなく”中から育てるもの”
DXを進めようとしたとき、「社内に詳しい人がいない」「誰がやればいいのかわからない」と悩む企業は多いです。
特に中小企業やバックオフィスでは、IT人材の採用が難しいため、DXが止まってしまいがちです。
実際、中小企業基盤整備機構の調査では「DX人材が社内にいない」が約28.1%の企業で課題となっている状況です。人材不足は中小企業にとって最も解決が難しい課題の一つとして認識されています。

[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX実態調査2023」]
でもご安心ください。DX人材は、”特別なスキルを持った人”を採用するのではなく、社内で育てていくことが可能です。
まず知っておきたい「DX人材とは何か?」
ITエンジニアではなく「現場改善に前向きな人」が中心になる
DX人材と聞くと、ITの専門家やシステム開発者を想像しがちですが、実はそうではありません。
特にバックオフィスにおいては、以下のような人材こそDXの担い手です。
- 日々の業務に精通している
- 課題に気づき、改善しようとする姿勢がある
- ツールや新しいやり方に前向き
- 周囲に働きかけられるコミュニケーション力がある
“変える勇気”と”気づき”を持っている人こそ、DX人材の原石なのです。
経済産業省のデジタル人材育成の方針でも、中小企業においては高度なITスキルよりも「業務改善力」と「デジタル活用力」の組み合わせが重視されています。現場を知り、変革を進める力が何よりも大切だという認識が広がっています。
社内でDX人材を育てる5つのステップ
STEP 1:まずは「小さな成功体験」をつくる
いきなり「DX担当になって!」では誰も動けません。
まずは、少しの業務改善で成果を感じる体験を作ることが重要です。
例:
- 経費精算をデジタル申請に変えてみる
- 勤怠集計をクラウドツールに切り替える
- 紙の請求書をPDF送付に変更する
こうした体験が「やってみたら便利だった!」という感覚につながり、意欲を引き出します。
STEP 2:”気づける人”を見つけて任せてみる
どんな職場にも、「地味だけど気づき力のある人」がいます。
そうした人に、まずは小さな改善プロジェクトを任せてみましょう。
- 日頃から「ここが手間」と話している人
- 他部門とよく連携している人
- 仕事を工夫するのが得意な人
肩書きはいりません。まずは”試してもらう”ことから始まります。
STEP 3:学べる環境を社内に用意する
「変わろう」と思っても、学びの場がなければ人は育ちません。
具体的には:
- 無料ウェビナーやセミナーへの参加
- ツールベンダーの初期サポート(オンボーディング)を活用
- 社内勉強会や共有チャットでナレッジを蓄積
“知る機会”を社内に常設することで、DXの土壌が整います。
情報処理推進機構(IPA)は中小企業向けに「DXリテラシー標準」を公開しており、どのようなスキルが必要かの指針として活用できます。基礎からの育成に役立つ内容となっています。
[出典:IPA「DXリテラシー標準」]
STEP 4:経営層が「伴走する」姿勢を見せる
DX推進で重要なのは、任せっぱなしにしないこと。
週1回の進捗確認や、成果へのフィードバックが効果的です。
- 小さな成功に社内で拍手を
- 失敗は責めず、次の一手を一緒に考える
- 経営陣が「見ている・支えている」姿勢を示す
この”伴走型マネジメント”が、現場に安心感と継続力を与えます。
STEP 5:外部の力を上手に借りる
すべてを社内で抱え込む必要はありません。
外部支援を使うことで、社内育成の加速にもつながります。
- DXコンサルとの月1壁打ちミーティング
- 副業人材や業務委託の短期導入
- 成功事例の共有で視野を広げる
“内製+外部支援”のハイブリッド体制が、持続可能なDX育成には理想的です。
まとめ|「人材がいない」ではなく「育てながら進める」時代へ
- DX人材は特別なスキルを持った外部人材ではない
- 現場に”気づける人”がいれば、育てていくことができる
- 成功体験 → 任せる → 学ぶ場を作る → 伴走する → 外部支援も活用
このサイクルこそが、DXを”人任せにせず、自分たちで動かす”仕組みです。
人材不足で悩む前に、まずは「誰が原石か?」を探し、できることから始めましょう。
育成型DXこそが、持続可能な企業変革の第一歩になります。

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