中小企業がDXに取り組むべき3つの理由
1、深刻化する人手不足と業務効率化の必要性
日本の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の約8,716万人をピークに減少を続け、2022年には約7,484万人となりました。2040年には約6,213万人に減少するとの予測があります。(出典:[国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口])
特に中小企業では、人手不足が深刻な課題となっており、2023年度の人手不足倒産は317件と過去最多を更新、2024年も高水準で推移しています。(出典:[東京商工リサーチ 2023年度「人手不足」倒産状況])
このような状況下で、DXを活用して業務を効率化し、少ない人員でも生産性を維持する仕組みの構築が急務となっています。
2、取引先・市場の変化への対応が不可欠
近年、取引先企業や市場全体でデジタル化が進行しており、DXに対応していない企業は取引から外れるリスクが高まっています。
例えば:
紙の請求書やFAXでの受発注に依存している企業は、電子請求書やデジタル発注システムを導入した取引先から取引停止される可能性があります。2023年10月からスタートした適格請求書(インボイス)制度に対応するためにもデジタル化は不可欠です。(出典:[国税庁 適格請求書等保存方式])
消費者の購買行動もオンライン化が進み、ECサイトやSNSを活用しない企業は競争力を失う恐れがあります。経済産業省の調査によると、2023年のBtoC-EC市場規模は20.9兆円に達し、EC化率は9.14%に上昇しています。(出典:[経済産業省 電子商取引に関する市場調査])
このような変化に対応するためにも、DXの推進が不可欠です。
3、中小企業だからこそ可能な柔軟なDX推進
中小企業は、大企業に比べて意思決定が速く、業務フローの変更も柔軟に行えるため、DXを迅速に進めることが可能です。
具体的には:
特定の業務から少しずつDXを進める「スモールスタート」が可能。
全社的な大規模システムを導入するのではなく、必要な部分だけをデジタル化することで、コストを抑えつつ効果を得られます。
中小企業庁の「中小企業のためのデジタルツール導入の手引き」でも、このような段階的なDX推進の重要性が指摘されています。(出典:[中小企業庁 中小企業デジタル化応援隊事業])
このように、中小企業の特性を活かしたDX推進が効果的です。
中小企業が実践すべきバックオフィスのデジタル活用戦略
1、経理・財務のDX化:業務負担軽減と正確性向上
経理・財務部門では、以下のような課題があります:
請求書の発行・管理が手作業でミスが多い。
給与計算に時間がかかる。
これらの課題に対して、電子請求書システムの導入や給与計算の自動化・アウトソーシングを活用することで、業務負担を軽減し、正確性を向上させることができます。経理業務のデジタル化により、平均40%の業務時間削減効果があるとの調査結果もあります。(出典:[freee 中小企業のバックオフィスDXに関する調査2023])
2、 総務・人事のDX化:業務効率化と働きやすさの向上
総務・人事部門では、以下のような課題があります:
社員の出勤・退勤データを紙やエクセルで管理している。
社内申請が紙ベースで非効率。
これらの課題に対して、クラウド勤怠管理システムや電子承認システムを導入することで、業務を効率化し、働きやすい環境を整えることができます。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」では、テレワークにおけるDXの重要性も示されています。(出典:[総務省 テレワークセキュリティガイドライン])
3、IT環境・セキュリティのDX化:リスク管理と業務効率化
IT環境やセキュリティ面では、以下のような課題があります:
社内のファイル共有がUSBメモリで行われている。
社員が個別にパスワードを管理しており、セキュリティが不安。
これらの課題に対して、クラウドストレージの導入やパスワード管理ツールの活用により、安全かつ効率的な業務環境を整えることができます。中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援体制は、情報処理推進機構(IPA)が提供しています。(出典:[IPA 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン])
まとめ:中小企業のDXは「小さく始めて、大きな効果を生む」
中小企業がDXに取り組むべき理由は以下の通りです:
人手不足が深刻化しており、DXによって少ない人数でも業務を回せる仕組みを作る必要がある。
取引先や市場の変化に対応しないと、競争力を失う可能性がある。
中小企業は意思決定が速く、柔軟にDXを進めやすい。
実践すべきデジタル活用戦略としては、経理・財務、総務・人事、IT環境・セキュリティの各分野でのDX化が挙げられます。
DXは一気に進める必要はありません。まずは業務のどこに課題があるかを見極め、少しずつ取り組むことが重要です。中小企業庁の「はじめてのデジタル化ガイドブック」も参考になります。(出典:[中小企業庁 はじめてのデジタル化ガイドブック])

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